神工会報(復刻版)

2011年創立100周年

第81号 昭和8年3月30日

   

賀陽宮両殿下 本校に御台臨  栄に輝く二渓ケ岡

3月13日賀陽宮(かやのみや)殿下には妃殿下御同伴にて文部省武部普通学務局長御案内申し上げ、横浜市教育状況御視察のため御来浜遊ばされ男子中等学校としては名実倶に備はる本校を御覧遊ばさることとなり午後2時、校門前広場に整列せる各科2年生1年生及び沿道各団体一般来迎者に御会釈を賜ひつつ御来校遊ばされた。

玄関にて御待ち申し上げし校長御案内し一旦校長室にて御休憩遊ばされ次いで秋山校長御先導武部局長、横山本県知事、大西市長、平沼亮三氏共の他諸員追従し、図案科、建築科、家具科、機械科、電気科の順にて実験室製図室御実習工場等を隈なく御熱心に御視察遊ばされた。時々机間に入られ或は実習中の生徒に専門家も及ばざる如き御造詣深き御下問を賜はり如何に殿下が工業方面に深き御関心をもたるるかが拝察せられ校長初め一同唯々し恐懼した次第である。水力実験室を最後に約50分間無事御視察を終はせられ再び校長室に至り御少憩の後御機嫌麗しく御帰還遊ばされた。

先には東久邇宮殴下御台臨の栄を得今又ここに両殿下を御迎え申上ぐるの光栄に浴せる本校の名譽は秋山校長日頃の御熱心にして御献身的なる御努力の結果に依るは論を挨たざれ共職員生徒協力一致和気逢いあいの中に培はれし比類なき吾が校風の醸せる賜であり斉しく同窓生諸君にも喜ばるべきである。

尚両殿下には当日本校の外県立第一高等女学校、私立隣徳小学校.市立太田、間門小学校及震災記念館等を巡察になり明治文化の発祥地たる吾が横浜市の教育状況の御視察及復興後の市内を御覧遊ばされ御満足の体なりしやに洩れ承る。

昭和8年3月30日